編み物の基本テクニックのひとつ「メリヤスこま編み」。シンプルながらも目が詰まったしっかりとした編み地が魅力で、初心者から上級者まで幅広く愛されています。その均一でなめらかな仕上がりは、ポーチやバッグ、インテリア小物など、さまざまな作品作りに活用でき、実用性とデザイン性の両方を兼ね備えています。
本記事では、メリヤスこま編みの基礎知識から、具体的な往復編みの方法、模様編みの楽しみ方、さらに失敗しないためのコツまでを、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。これから編み物を始めたい方はもちろん、一度覚えた編み方を改めて見直したい方や、作品のクオリティを上げたい方にも役立つ内容となっています。
記事の最後には、メリヤスこま編みで作れるおすすめの作品例や、継続して編み物を楽しむためのアイデアもご紹介しています。ぜひ最後までご覧いただき、あなたの編み物ライフにお役立てください。
メリヤスこま編みの基本
メリヤスこま編みとは?
メリヤスこま編みは、かぎ針編みの基本テクニックであるこま編み(細編み)をベースに、表裏が均一でなめらかな編み地を作り出す編み方です。
通常のこま編みは編み目に凹凸が出やすいですが、メリヤスこま編みはその凹凸を極力抑え、まるで布のように目が詰まったフラットな仕上がりになります。
そのため、バッグやポーチ、クッションカバー、マットなど、耐久性が求められる作品に広く活用されています。しっかりとした編み地が型崩れしにくく、長く使いたいアイテム作りに最適です。
メリヤス細編みとの違い
一般的な細編み(こま編み)とメリヤスこま編みの最大の違いは、編み目の揃い方と編み地の滑らかさです。
通常の細編みでは、段ごとに編み目の向きが変わるため、編み地の表裏に差が出やすく、編み目の凹凸が目立ちます。それに対し、メリヤスこま編みは、常に同じ方向に編み進めることで表目・裏目の差が少なく、均一な目並びになります。
そのため、完成した作品はまるでニット布のような質感となり、手触りも柔らかく、見た目も美しいのが特徴です。
初心者向きかどうか
メリヤスこま編みは、一見すると難しそうに見えますが、実は基本のこま編みさえ覚えていれば誰でも挑戦できる技法です。複雑なテクニックや特別な道具は必要なく、繰り返し編むことで自然と手が慣れてきます。
最初は目の大きさが不揃いになったり、目を拾い間違えたりすることもありますが、慣れてくると一定のリズムでスムーズに編めるようになります。また、メリヤスこま編みは糸割れしにくく、ほどいてやり直しもしやすいので、初心者が練習するのにも最適な編み方です。
基本の編み方をしっかり身につければ、模様編みや配色など、さまざまなアレンジも楽しめるようになります。
メリヤスこま編みのやり方
往復編みの基礎知識
往復編みとは、端まで編んだら作品を裏返し、編み始めた方向に戻って編み進める方法です。この「行って戻る」動きを繰り返すことから、「往復編み」と呼ばれています。
メリヤスこま編みでは、この往復編みの動作によって、目が均一に並び、しっかりとした厚みのある編み地が完成します。
特に平面の作品や長方形・正方形のアイテムを作る際に最適な編み方です。往復編みの基本をマスターすれば、作品の幅が一気に広がります。
立ち上がりの重要性
往復編みで欠かせない工程が「立ち上がりの目」です。これは、新しい段を編み始める際に、編み地の高さを調整するために編む目のことを指します。通常は1目だけ立ち上がりを編みますが、この目を入れることで、段と段のつなぎ目がきれいに整い、端がガタガタするのを防ぐことができます。
また、立ち上がりの目を省略すると、段の高さが不足し、作品全体が歪んでしまう原因になります。美しい編み地を作るためには、この立ち上がりの目を毎段忘れずに編むことが大切です。
1段目の編み方
1段目は、編み物の土台となる非常に重要な段です。最初の作り目から目を拾って編み進める際は、目と目の間隔が均等になるよう意識しましょう。
特に初心者の場合、1段目で目を拾う位置を間違えたり、目の大きさにムラが出たりしやすいため、焦らずゆっくりと確認しながら編むことがポイントです。また、糸の引き加減が強すぎると編み地が硬くなり、逆に緩すぎると編み目が揃わなくなってしまうため、適度なテンションを保ちながら編み進めましょう。
初めのうちは何度かやり直しながら練習することで、安定した編み目が作れるようになります。
輪の往復編みの利点
輪の往復編みの特徴
輪の往復編みとは、通常の輪編みとは異なり、編み始めと編み終わりがつながっていない状態で、往復しながら編み進める方法です。輪にせず直線状に編み、端まで来たら作品を裏返して戻るという作業を繰り返します。
そのため、編み地の裏表の差が目立ちにくく、目並びが整いやすいのが特徴です。また、糸を切らずにそのまま行き来できるので、余計な糸処理が少なく済み、効率よく編み進めることができます。初心者でも挑戦しやすく、編み目を確認しながら進められるため、ミスを減らせるのも大きなメリットです。
メリヤス編みの編み地の仕上がり
輪の往復編みで作るメリヤスこま編みは、目が揃いやすく、均一で丈夫な編み地に仕上がります。特に布のようにフラットでしっかりとした質感になるため、バッグやポーチ、コースター、マットなど、形を保ちたい作品に最適です。
また、往復編みならではの端の処理がしやすく、仕上げの段階でも形を整えやすいという利点もあります。色替えや模様編みを取り入れたい場合も、往復編みの方が管理しやすく、編み目の流れをコントロールしやすい点が魅力です。
使用する素材と道具
メリヤスこま編みの輪の往復編みを始める際に必要な道具は、以下の通りです。
- かぎ針(4号〜6号がおすすめ。編みたい糸の太さに合わせて選びます)
- 並太〜極太の毛糸(初心者には太めの糸が扱いやすくおすすめ)
- 段数マーカー(段数を把握するために役立ちます)
- とじ針(糸端の処理やパーツの縫い合わせに使用)
初心者の方には、アクリル毛糸やコットン糸など、滑りがよく編み目が見やすい素材を選ぶとスムーズに進められます。また、糸割れしにくいタイプを選ぶことでストレスなく編み進められ、作品作りがより楽しくなるでしょう。
メリヤスこま編みの模様
模様編みの楽しさ
単純な編み方の中にも、模様を取り入れることで作品に豊かな表情が生まれます。メリヤスこま編みは目が整いやすいため、色や編み方を変えるだけで印象ががらりと変わり、自分だけのオリジナルデザインを作ることができます。
例えば、段ごとに色を変えたり、特定の目だけ引き上げ編みにすることで立体感を出したりと、アイデア次第で無限の模様表現が可能です。シンプルな直線の編み地に、アクセントとして模様を取り入れるだけでも、作品の完成度がグッと上がります。
さらに、模様編みを取り入れることで、編む過程そのものがより楽しくなります。単調になりがちなこま編みに変化が加わるため、編み進めるたびに新しい発見があり、完成まで飽きずに取り組めます。季節やシーンに合わせて色や模様を選び、自分だけの特別な一枚を作るのもメリヤスこま編みの醍醐味と言えるでしょう。
編み込みテクニック
色を変えながら編み進める「編み込み模様」は、メリヤスこま編みと非常に相性が良いテクニックです。具体的には、編んでいる途中で糸の色を切り替え、模様を描くように配置していきます。チェック柄や幾何学模様、動物や花のモチーフなど、自由自在にデザインできます。色替えの位置を工夫すれば、複雑に見える模様も意外と簡単に表現可能です。
編み込み模様を美しく仕上げるためには、裏側の糸渡し(色を使わない糸を裏で渡す)のテンションを均一に保つことがポイント。糸が強く引っ張られすぎると編み地が縮んでしまうので、程よい緩さを意識しながら編み進めましょう。初めは小さなモチーフから練習するのがおすすめです。
編み図の読み方
編み図とは、編み物における「設計図」のようなものです。記号や線を使って、目の動きや模様の配置を視覚的に示しています。模様編みに挑戦する際は、この編み図を正しく読み取ることが重要です。
メリヤスこま編みの場合、基本的な記号はこま編みのマークと色替えの指示のみで構成されていることが多く、初心者でも比較的読みやすいのが特徴です。編み図には段ごとに目の位置や色の切り替えが示されているので、一段ごとに確認しながら進めることで、編み間違いを防げます。また、マーカーや付箋を使って現在の位置を把握しながら作業するのもおすすめです。
最初は小さな編み図から始め、慣れてきたら少しずつ複雑な模様にチャレンジしていくと、編み図を読む力が自然と身についていきます。
編み方のコツ
こま編みのポイント
メリヤスこま編みをきれいに仕上げるための最大のポイントは、糸を均等なテンションで引き出し、目を拾う位置を正確に保つことです。編み進めるうちに糸の引き加減が強くなったり緩くなったりすると、編み地にムラができてしまい、美しい仕上がりになりません。
特に往復編みの場合は、行きと帰りで手の動きが変わるため、無意識にテンションが乱れがちです。常に同じ力加減を意識しながら、リズムよく編み進めることが、均一な編み目を作るコツです。
また、目を拾う位置がずれてしまうと、編み地全体が歪んだり、穴が空いてしまう原因になります。目の根元が見えにくいときは、一度手を止めて確認する習慣をつけましょう。初めのうちは時間がかかっても、正確に目を拾うことを意識することで、自然と手が慣れていきます。
ミスを避けるためのヒント
メリヤスこま編みを失敗なく進めるためのポイントは、こまめに確認しながら作業を進めることです。
- 段数マーカーを活用することで、編み進めた段数を把握しやすくなります。特に長方形や大きな作品では、どこまで編んだかを見失いがちなので、マーカーを使って節目ごとに印をつけておくと安心です。
- 1段ごとに目の数を数え、減ったり増えたりしていないか確認することが大切です。少し面倒でも、定期的なチェックがミスを防ぎます。
- 疲れたときや集中力が切れたときは、無理をせず一度手を休めましょう。編み目が不揃いになったり、目を飛ばしたりする原因になります。
- できれば明るい場所で編む、または手元を照らすライトを用意することで、目を拾う位置がより見やすくなります。
応用した編み方
メリヤスこま編みに慣れてきたら、少し応用した編み方にも挑戦してみましょう。基本の編み方にひと工夫加えるだけで、作品の表情が豊かになります。
- 段染め糸を使用すると、自然なグラデーションやカラフルな模様が楽しめます。編み進めるごとに色が変わっていくので、編んでいる時間そのものがワクワクするはずです。
- 太さの異なる糸を交互に使うことで、立体感やアクセントを加えることができます。細い糸と太い糸を組み合わせれば、同じ編み方でも全く違った印象に仕上がります。
- 部分的に引き上げ編みや裏編みなどを取り入れることで、メリヤスこま編みの中に凹凸や模様を加えることが可能です。最初は小さな範囲から挑戦し、慣れてきたら作品全体に取り入れてみると、オリジナル性の高い作品になります。
メリヤスこま編みは、編み物初心者でも挑戦しやすく、丁寧に編めばしっかりとした美しい編み地が完成します。そのため、初めて編み物をする方でも、基本を押さえて練習すれば、着実に技術を習得できるのが魅力です。
さらに、往復編みや模様編みなどの応用テクニックをマスターすれば、ポーチやバッグ、あみぐるみなど、作れる作品の幅はぐんと広がります。色使いや糸の太さを変えるだけでも、作品の印象は大きく変化し、自分だけのオリジナルアイテムを作る楽しさを味わえるでしょう。
今回ご紹介したコツやテクニックを参考に、焦らずじっくりと編み物に取り組み、あなただけの素敵な編み物ライフを楽しんでください。